[Fluter/dart]factoryキーワードをつけただけではsingletonにならない
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[Fluter/dart]factoryキーワードをつけただけではsingletonにならない


概要

dartではコンストラクタにfactoryというキーワードをつけることができます。

僕は以下のような勘違いをしていました。

  1. factoryコンストラクタとは、singletonを作るためのものである。

  2. コンストラクタにfactoryのキーワードをつけると、自動でsingletonを生成してくれる

これについて解説していきます。



factoryコンストラクタとは

まずは勘違い1についてですが、factoryコンストラクタを使用する状況は主に以下の二つです

  1. factoryパターン

  2. singletonパターン


factoryパターン


ある親クラスと、そこから派生する多種類の子クラスがある場合を考えます。クラスインスタンスを利用する側は親クラスを対象として汎用的に設計できれば、場合分けも減り新種の子クラスの追加にも容易に対応できます。

このような設計がfactoryパターンです。


例えば、親クラスFigureがあって、子クラスとしてRectangle、Circle、・・・があるとします。Figureインスタンスを利用する図形描画アプリケーションは、個別のRectangle、Circle・・・を区別せず、Figureクラスを対象として設計します。


class Figure{
  double width;
  double height;
  ・・・
}

class Rectangle extends Figure{

}

class Circle extends Figure{

}
//図形描画アプリケーション

Figure create(int kind){

}

void move(Figure figure){

}

void delete(Figure figure){

}

この時問題となるのは、新たに図形を作成する場合です(上記のcreate())。

以下のように、kindに応じて場合分するのはナンセンスです。図形描画アプリケーション側はRectangleなどの子クラスの詳細は分からなくても良いようにしたいです。

(例えば新しい図形が追加された場合の修正を想像してください。アプリケーション側まで修正の必要が出てきます)

Figure create(int kind){

  switch(kind){ 
    case RECT:
      return Rectangle();
      ・・・
  }
}

この問題に対応するのがfactoryコンストラクタです。Figureクラスのコンストラクタで子クラスのインスタンスを返せるようにします。

Figure.create(int kind){  //注 このままではコンパイルできません
  
  switch(kind){  
    case RECT:
      return Rectangle();
      ・・・
  }
}

アプリケーション側はFigureクラスのコンストラクタを呼ぶだけです。

Figure create(int kind){
  return Figure.create(kind);
}


Singletonパターン


factoryコンストラクタのもう一つの利用シーンがSingletonパターンです。

あるクラスでは、アプリ内でインスタンスは一つしか要らない、という場合に使用します。

例えば、あるもののプロパティをまとめたクラスなどです。


この場合、コンストラクタでは、最初の呼び出し時にインスタンスをキャッシュしておき、2回目以降の呼び出しではキャッシュしてあったインスタンスを返します。

Propeties props;

class Properties{

  Properties.create(){  //注 このままではコンパイルできません
    if (props == null){
      props = Properties();
    }
    return props;
  }
  
  //コンストラクタ
  Properties(){
  
  }
}


Factoryキーワード

factoryコンストラクタは上記のようにfactoryパターンやsingletonパターンを実装するために利用します。

公式 によれば、dartにおいてfactoryキーワードをつけると

 必ずしも新しいインスタンスを返さなくても良い

ことになります。

factory Figure.create(int kind){  
  
  switch(kind){  
    case RECT:
      return Rectangle();
      ・・・
  }
}

実際の使用方法としては、上述のように

  • 子クラスのインスタンスを返す

  • キャッシュしてあったインスタンスを返す

などがあります。


あくまで「〇〇してもよい」であって、factoryキーワードをつけたら自動で上記のようなことをしてくれるわけではないことに注意してください。



最後に

たぶん自分が初めてfactoryコンストラクタを知った時の使用ケースがsingletonパターンだったため、最初に書いたような勘違いをしていたんだと思います。

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